CHEF`Sのアンテナバリサン男こと、M2のちょっとマニアックな熱血ストーリー
Vol.13
「富士山」
今年に入って早速あるお仕事をいただいた。
これは以前からVIPなお客様からいただいているちょっとイレギュラーなお仕事のお話。
それは似顔絵でも壁画でもなく・・・富士山画。
別にお風呂屋さんに描きに行ってるわけではない(笑)
今まで縁だのなんだのと、胡散臭いことを言ってきたけど
これにはホント不思議なものを感じている。
僕は学生の頃生きてるうちに達成してみたいって思ってたことが二つ程あった。
それは「フルマラソン完走」と「富士山登頂」。
フルマラソン完走はまだ達成できていないけど
富士山登頂に関しては、ありがたいことに二回も達成させてもらっている。
登ってみていろいろ感じることはあったけど、
まさかこうして登りきった後になっても富士山の凄さを感じるなんてその当時は思ってもみなかった。
一見、簡単そうに見える富士山の絵。
これがまたなんとも深い。
背景としては何度も描いたことがあったけど
主役として描いてみると、とんでもない化け物だってことに気づく。さすがは世界遺産。
下描きをしてみると、あっという間に終わってしまう。
結局は山の稜線しか描くものがない。
恐ろしく誤魔化しがきかない(笑)
あとは、表情、空気感、存在感、季節感、温度、・・・そういったものを
色を塗りながら表現していくしかない。
真剣に向かい合ってみると、いろんな精神状態になる。
チャチャっと描いてしまおうとすると必ずド壷にはまるし、
途中、なんでこんなものを描いてるんだろうという気持ちにもなる。
なんかどこかで感じたことのある感覚だなぁ~なんて思ってたら
そう、富士山に登った時とおんなじ様な気持ちだった。
途中はすっごく苦しいんだけど、最終的にはものすごい達成感がある。
これは、何枚か描かせていただいて、いつも感じること。
ここには自分が絵を描き続けてる意味がいろいろ隠されてるような気がした。
正直、いくらでも手を抜こうと思えば抜ける絵。
でもそれをさせてもらえない何かがあったり
CGならあっという間に描けてしまうであろうグラデーションを地道に何回も何回も色を重ねて表現する。
水加減や色の配分、ストロークのスピードでガラッと変わってしまう。
このご時世、こんな非効率でアナログなことする意味あんのかな、
なんて思う時もあるけど、僕はここに意味があると思ってずっと拘り続けている。
わかる人にわかってもらえればいい。
自分の体では二回登らせてもらった。
どっちも全然違う景色が広がってた。
これにも意味があったんだと思う。
そして今、やりきったと思うとまた新しく巡ってくる富士山のオーダー。
これも毎回違う。
結局登っても描いても変わらず毎回いろんなものを教えてもらう。
今、実際に登ろうと思ったら体力が追いつくかわからないけど
こうしてずっと関われてる事を本当に幸せだと思う。
若い頃に直感でやってみたいと思った感覚は満更間違ってなかったんだな。
これからも絵を描き続けてる限り、向き合っていきたいと思う。
松原一史
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