Laugh Love Life Magazine

No.161 (2018.10.9)
MATSの高純度 高密度 高濃度ご縁物語

CHEF`Sのアンテナバリサン男ことMATSのちょっとマニアックな熱血ストーリー

第56回
「ピノキオ」


こんにちは、MATSです。

今僕は新宿(CHEF`S bonbon)と横浜(CHEF`S SHIP.Y)の行ったり来たりの日々が続いている。
場所によってもぜんぜん違う。
似顔絵の概念は最初の頃と驚くほど変わった。
振り返ってみよう。

もともと似顔絵描きではなかった僕が十数年前にランドマークタワーで似顔絵を始めた。
始めたといってもまだまだどこかバイト感覚だった。
似顔絵といえば観光地やショッピングモールの一角に居るイメージ。
見かけるたびに気になるんだけど、少しライバル意識というか、
絵では誰にも負けないと思っていた自分はどこかでファイティングポーズをとって見ていたような気がする。
それがひょんなことからそっち側に座ることになった。

で、いざはじめてみた時も「10分で描く絵だろ。」くらいの軽い気持ちだった。
自分でも寒いくらいただのアホです笑
上手い下手はともかく何とかなってしまった。
これが最初の落とし穴だった。

それからしばらくの間はまだ舐めた感覚は抜けきれてなくて。
69階という現実離れした場所も手伝ってフワフワしてた。
絵を描くことよりもたくさんの人と話を出来ることの方がだんだん楽しくなり始めてた。
夜景を楽しむカップルさんや観光で訪れる団体さん。
その人たちの特別な日のわずかな時間と大切な一枚を少しだけ預かっていた嬉しさもあった。
来る人来る人楽しそうで、一緒になって盛り上がって、絵を見せたら「すごーい」と言われる。そりゃあ調子にも乗るって(笑)

でもそんなことばかりではなかった。
フワフワしてるから足元をすくわれるのも簡単だった。
人間て恐ろしいから、楽しいことや素晴らしいことでも毎日のように過ごしているとそれすら感じなくなる。
だんだんお客様の微妙な表情とかが目に付いてくる。
最初の頃は「どうだー!」みたいな気分の方が強かったから、時々お客様の顔が曇るような場面があっても見ない振りをしてたかもしれない。

顔が曇るだけならともかく、直接言われたり、会社にクレームが入ったり、描き直しになってしまうこともある。
若い頃はまだ生意気だから何で言われてるのかも気づかない。
本当は何も出来ないただの若造だったのに自分のこと天才だと勘違いしてた。

現実を突きつけられて、初めて自分の無力さに気づく。
小さい頃から絵でなら誰にも負けないと思っていた自分が、
絵の事で自分を否定される・・・これは想像以上にキツイ。翼をもがれたように気持ちになる。

デビューした頃は、ちょっと違う世界からやってきて、似顔絵をチャチャッと始めて、何でもできるような気になってた。
若くして大きな光る絵を描いたりしてたから、よけいにそう思ってたんだろうな。。
高く飛んでいたつもりだったけど、それが自分の力で飛んでなかったってことも知らずに。
大きな光る絵も、69階の似顔絵も、完全なる魔法だった。

自分は下手くそだった。

でも、一つだけ、救いがあった。
それはどんなことがあっても腐らずに辞めずに来たこと。
やっぱりなんだかんだ言っても自分には絵しかなかったから。
下手でも何でも、自分の絵で喜んでくれる人がいたってのは自信になった。

そして隣を見れば、それぞれの道を経て同じところにたどり着いた「絵しか無い奴ら」がいた。
モデルをやってる生意気なやつ、コンビニの夜勤をやってるやつ、漫画家を目指して上京してきたやつ。何考えてるかわからないやつ。。。
なんか知らんけど妙にワクワクした!

続きはまた今度。

MATS



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