Laugh Love Life Magazine

No.132 (2017.7.8)
MATSの高純度 高密度 高濃度ご縁物語

CHEF`Sのアンテナバリサン男ことMATSのちょっとマニアックな熱血ストーリー

第42回
「おじいちゃんの言葉」

MATSです。

僕には90歳になる義理のおじいちゃんがいます。

そのおじいちゃんは、ぶっとい芯が通ってて、知識が豊富で、ユーモアがあって、厳しいけど愛情があって・・・とても尊敬できるおじいちゃんです。

以前おばあちゃんと一緒の似顔絵を描いたことがあったのですが、「たいしたもんだなぁ」と言いつつも、ある時に冗談ぽく「俺の本当のかっこよさをまだわかってないなぁ」と言っていました。
笑っていたけど本音はこっちなんだろうというのがわかりました。

しばらくしてお家にお邪魔した時、おじいちゃんがご自分の若かりし頃の写真を整理していました。
終活だとおっしゃってました。
その写真を見せてもらったとき、前に言っていた言葉の意味がわかりました。
確かにカッコイイ。
イケメン・・・ではなくハンサム。この言葉のほうがしっくりくる。

でもそれは若くてハンサムだからカッコイイという感じではありませんでした。
戦争を知っているおじいちゃんが軍隊として飛行機に乗っていた頃の写真でした。
なんとも言葉にはしがたい、オーラというか、覚悟のようなものがその表情からみなぎってた。
その写真は17歳の頃のものだったそう。
40歳近くなる今でさえ僕にはこのような雰囲気は出せない。
生きてきたバックグラウンドが違うんだろうな。
だから言葉ひとつひとつの重みが違う。

それを知っているおじいちゃんからすれば、今の自分の容姿はきっと不本意なものなのだと思う。
僕はそれを知らずに今の姿を、どちらかと言えば可愛く描いた。
それはそれで似顔絵としてはひとつの正解かもしれないけど、
まだまだ奥まで刺さるものじゃなかったんだと思う。

昨年、そのおじいちゃんの90歳の誕生日に僕はあるものを贈りました。
あのときの写真を絵におこしたものです。
あの写真を見た瞬間これを一枚の絵にするんだってすぐに頭によぎりました。
もはや本能。

嘘は言わない真っ直ぐなおじいちゃんは、それを見た瞬間こう言った。
「なんか写真け!」
目があまり良くないので細かいところまで見えなかったのだろう。
「いや、これは僕が描きました。」
そう言うと、目を丸くして驚いていました。
「ほんとけ!?!?」
そうわかると隅々まで見始めて感心していました。
じっくり見た後、おじいちゃんはポツリとこう言いました。

「今までもらったどんな菓子や酒よりも嬉しい。」

絵描き冥利に尽きる言葉でした。
今ではおばあちゃんと二人で過ごすお部屋の目立つところに飾ってくれてます。

おじいちゃんの言葉には重みがあります。
これからどれだけ一緒に過ごせるかわからないけど、できるだけたくさんお話をしたいと思う。

MATS



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