気まぐれで始まりました新コーナー「熱くなった日」。
僕が熱くなった日について勝手に一人で熱～く語っちゃおうと思います。

第一弾はこの日。
1991年8月30日。
この日付を見ただけで、日本で何があったかわかったという人はかなりのマニア。

僕はこのとき中学二年生。
夏休みが終わる寸前、当然山のような宿題を処理してい・・・る、はずでした。
しかしこの日は宿題を差し置いてでも見ておきたい「ある事」が日本で行われ、しかも歴史に残る一日になったのでした。

91年夏。
第三回世界陸上が東京で開催されてました。
長嶋茂雄氏が「ヘイ！カール！！」という名言を残したことでも有名なこの大会。
当時陸上部だった僕らは毎日走ったり飛んだりすることが生活の全てでした。
そんな中、東京で世界大会が行われるということで陸上部のみんなで観戦に行ったのでした。

今は無き旧国立競技場。
満員の観客席の大歓声と静寂。世界レベルの競技・・・目の前に広がる全ての光景が圧巻で興奮しっぱなしでした。

今でこそ陸上競技のスーパーヒーローはウサイン・ボルトですが僕にとっては永遠のスーパーヒーローは米国のカール・ルイス。
長い陸上の歴史の中で常にチャンピオンはいますが、本当の意味でスーパーヒーローというのはルイスやボルトくらいなんじゃないかと僕は今でも思っています。
ちなみに僕はこのカール・ルイスに憧れて陸上を始め、100.200m・走り幅跳びをやっていました。

この大会、カール・ルイスは絶好調で既に100mで世界記録を塗り替えていました。
そんな中僕らが行ったこの日は、奇しくも男子走り幅跳び決勝の日。当然この日も主役はカール・ルイス。

ボルテージは最高潮。夕方、走り幅跳びの競技の時間を迎えました。
生のカール・ルイスが目の前を歩いているだけで失神しそうなくらいの興奮！

勝負は予想通り、カール・ルイスと、ライバルのマイク・パウエル（米国）の一騎打ちになりました。
今大会のルイスは集中力がすさまじく、尻上がりに記録を伸ばし、好記録を連発します。
そしてピークを迎えたのは4回目の跳躍。
追い風参考ではありますが8m91という当時の世界記録を1センチ上回る記録をたたき出します。
この時ばかりは普段クールなイメージのルイスも感情を爆発させました！！
子供達の僕らは「ヤベー！ヤベー！」を連発（笑）
何がヤベーかというとその記録、23年間破られなかった世界記録を上回ってるんですから！
そこにいる5万人全員がおそらくその瞬間カール・ルイスの金メダルを確信してました。
しかしドラマはその直後に起きます！！

ライバルのパウエルが会心の跳躍！！！！
しかも風は+0.3。
白旗が上がってる！
ファウルではない！！
パウエル自身もかなり手ごたえを感じてる様子！！！
国立競技場が今日一のザワつき。。。
記録が出るまでの数秒がめちゃめちゃ長く感じる。。。

記録は・・・・・・・・・・・・・・！？！？

８ｍ９５ーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!

次の瞬間、オーロラビジョンに「世界新記録達成！」の文字がドーーーーーーン！！！
気づいたらパウエルが喜びを爆発させ客席に飛び込む勢いで走ってきます！！！

うわああああああああああああ！！！！
鳥肌が止まらねえーーー！！！

完全に今、空中を歩いてた！！！笑
体感はスタンドの僕らの近くまで飛んできて目の前を歩いてた感覚！
そのくらい凄かった！

会場のザワつきが止まらない。
でも、それに負けないくらい凄いのはそんな空気の中でも集中を切らさなかったルイスが残りの二回も好記録を連発させてたこと。

しかし結果は、パウエルの勝利。
あれだけ好記録を連発したルイスが銀メダルに終わった。
歴史に残る名勝負と記録を目の前で見てしまった。
しかも、そのときの記録は四半世紀以上過ぎた現在もまだ破られていません。

忘れられない中2の夏。
憧れだった選手は目の前で負けてしまったけど、その負けた姿までもがカッコよかった。
今こうして思い出してもアドレナリンが出る。
あれほど陸上競技に明け暮れてた僕が今絵を描いてるのも不思議な感じですが、確実に陸上スピリットは今でも生きてます。

「熱くなった日」。こういう経験の一個一個が重なって今の僕を作って今の作品に繋がってます。
また今度、別の経験談を熱く語りたいと思います！

ＭＡＴＳ